2023年2月11日 配信
今、ある事情から僕の過去作『戦慄のメアリー』の手直しをしているところだ。
中編なので校正に少し時間がかかっているが、おおまかなところは修正済みであと二、三日のうちには終了するだろう。改めて今回、この作品を読み直してみると全登場人物のキャラクターにはしっかりとした個性があり、また物語の中では驚くほど生き生きとしていた。セリフも問題なし、ミステリーなので辻褄合わせが重要なくらいか・・・さて、それとは別に最近気づいたことがある。それは執筆における<現在>と<過去>にまつわる不安である。つまり、今この物語を書けと言われてもあの時のような勢いと雰囲気は文章には現れない可能性はある・・・もっとも洋画が好きでアメリカのB級ホラーを意識して書くのは苦にはならないが。数年前に書いていた自分<過去>とすると年齢を過ぎた今の自分は<現在>。もうあの時のような自分には戻れないのではないか?
そして、その原因を考えてみる・・・人がだれしも遭遇する大きな転換期。たとえば仕事に結婚、女性ならば出産、人生で経験する幸福と不幸の数々、身近な者の死・・・自分を取り巻く生活環境が重要で、それが原因でがらりと文章の雰囲気が変わることがある。自分でも信じられないほどに。
あの時の勢いと雰囲気・・・が出せないという不安。しかし、今回のように過去作を読み返すことでまた、あの時に戻れるのも確か。時間の概念はやっかいだ。できればこう思いたい。自分の<過去>と<現在>は一緒に同時進行しているものだと。つまりは過去作と現時点の構想を合わせることでまた、新しい物語が生まれるのではないか?それがいわゆる<未来>につながる・・・そう思うと少し、気が楽になった。
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