2023年6月19日 配信
毎日雨と湿気・・・鬱陶しいと思う方もいらっしゃると思いますがね・・・しかし・・・
夏本番が訪れる前に必ず、やってくるものがある。それは年によっては早く明けたり、長引いたり・・・私にとってはその期間が長ければ長いほど、居心地がいいものなのだ。梅雨というこの上ない素晴らしい季節。酷い湿気に雨・・・クライマックスは雷に豪雨、嵐もともなって私を創作の海へと旅立たせる。もう二度と戻れない荒海への航海。海面には得体の知れない巨大な影が浮かび上がって・・・恐怖に慄く自分がいるが、その影と対峙したいと思う気持ちを抑えられずに身を乗り出してしまう。
・・・と、これは少し大袈裟だがこの季節に長時間、あの音を聞き続けると奇妙な感覚に襲われ、それからは決して逃れられない。
私は静寂のなかに身を置くのが好きだ。だいぶ前の記事で創作の話をしたことがある・・・外出して帰る➡部屋に戻る➡外部で拾った様々な情報(出会った人々や騒音、その他)からインスピレーションを得る。
しかし、この季節は別のかたちでの創作方法がある。部屋の中は基本、静かでなければならないのだが・・・雨風と雷が叩きつける雰囲気は特別なのである。ホラー映画などでは雰囲気作りによく豪雨や雷を効果的に使うことが多い。私もそれを意識してか、昔から何か神秘的で邪悪なものを感じていた。そうして何十年もその季節を繰り返すうちにそのなかから、あるインスピレーションを感じ取れるようになった。
雨が弱くなった頃にそれは感じ取れる。決して豪雨の時ではないのだ。それはある程度、収まった雨模様の時にだけ。ぽつ・・・ぽつ・・・と、屋根から滴り落ちる雫が地面や室外機に落ちた音。間違いなく滴り落ちた音。聞き続けているうちにそれはやがて、ある正確な間隔を保ち音を奏でていることに気づく。まるで、時計の秒針が時を刻むように。滴り落ちているのは本当に雫か?屋根から滴り落ちるのは本当に・・・赤い雫、深紅の雫ならばどうだろう?それも大量の・・・いや、それよりも天より降りし雨自体が血のような深紅だったのなら。ここで、雫が落ちた音にまじって別の音が聞こえ始める。
何者かの足音・・・それはまるで滴り落ちる音に合わせているようにも感じる。なぜ?私に気づかれないためか?その音は最初は小さく、だんだん・・・大きく!そうして、私のすぐそばまで・・・。
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