2022年5月11日 配信
この作品は80年代のアメリカン・ホラーを意識して書いたつもりだ。
ジョン・カーペンターの作品や『血のバレンタイン』(80年版)、『バーニング』、あの有名な『13日の金曜日』シリーズもしかり、僕の体には物心ついたころから洋画ホラーの血が流れていた。
それもあって、学生の頃は得体の知れないホラー映画を見続けて、チェックリストを作っていたほどだ。まだ、VHSテープのレンタル店が軒を並べていた頃、店内の隅にある異様な空間に引き込まれた――
そこには独特な甘い香りが立ち込め、悪魔が並べたとしか思えない異様なパッケージがずらりと並んでいた。醜悪な殺人鬼や怪物の表紙、震える手で手に取る・・・裏面を見るのが恐ろしかったが・・・恐怖よりも好奇心が勝っていた。
視界に飛び込んでくる鮮烈な題名と映像・・・一度、その世界に入れば中毒者のようにもっと、もっとと、求め続ける・・・
多種多様な殺し方、武器・・・犯人の仮面の下には世にも醜い顔が・・・
いわゆる、B級ホラーというジャンルだった。キャンプ場での殺人鬼物がヒットすれば、同設定で何百本と亜流品が生み出される。
おなじみのシチューエーション、冒頭で殺されるいちゃつくカップルにお色気路線の登場人物たち。
盗作と思われるほどオリジナルに似たストーリー・・・それでも飽きなかった。何万本観ようが・・・
次第に映像が自分の頭になかに出来上がっていた。あくまでもB級路線、謎解きと恐怖、スタイリッシュなストーリー・・・驚きの結末。
これらを意識し執筆を始めた・・・そして、自分でも驚くほど筆が進み、一気に結末まで。
出来上がった『戦慄のメアリー』はライトノベル感覚で読めると評されることがあるが、どちらかというとハリウッドのB級ホラーの脚本のほうがしっくりとくるであろう。
『戦慄のメアリー』は記憶を巡るストーリーとなっているが、一度で二度おいしい展開となっている。
未読の方は是非・・・🔪
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