2024年4月26日 配信
肌ざわり、インクの香。そこにあるものは、紛れもない現実感。
新刊本のキャンペーンとはこんなに忙しいものなのか。
血騒ぎ、心浮き立つのだが・・・手が痛かったり…
そんな中
何だか元気が出ない・・・のだ。
数日前ぐらいからだろうか。
僕の生活にいろいろと変化が起きたためだろうか。
本を発売して、幸せが訪れた。
しかし、その幸せをよそに、
その得体のしれない変化は肉体と精神に、じわじわと侵食してきた。
高熱で倒れたり、〇〇が無くなったり・・・○○にダメージを与えたり・・・しかし、一番堪えたのはやはり・・・
○○が〇〇でないこと・・・
なんだか、言葉ではうまく伝えられないがかなりショックだった・・・帰りの電車の中で沈み込み暗黒の世界へと飲み込まれてゆく・・・そして、暗いトンネルに入りさらに気分は憂鬱に・・・
実は、今は、ただ・・・束の間の幸せなのか。
ガラスに映しだされる車内の人々――はっとして辺りを見まわした・・・僕がいる車両・・・窓の外を見つめるのは僕一人。
狭い車両の中はうつむき死んだような虚ろな目で携帯電話の画面を凝視する奴らでいっぱいだった。
そうか。そうだよ。
携帯電話…
いつから、こんな世の中になってしまったのか・・・すべての意識を委ねるかのように食い入る目つき・・・手から離せない、まるで体の一部と化した携帯電話・・・窓の外を見つめている自分だけがなんだか浮いているように思えるこの異常さ。
24時間、携帯電話という機器に支配され続ける人々・・・依存という枠を超えて、もはや手放せない生活の絶対的な必需品となってしまった・・・自分の命の次に大切な機器・・・これは大袈裟ではない。
言い換えればその機器を・・・神として崇めているとも思える。
僕はただひとり、移りゆく景色を見つめる・・・無数の家屋・・・屋根・・・色・・・木々・・・緑・・・歩いている人々・・・
↑僕は間違いなくこちら側の人間だ↑
狭い車内・・・この空間にもう、長居できない・・・
そうだ、いっそのこと・・・しばらく・・・外界との接触も断ち切ろ・・・
騒音を消して、無という空間に身を置きたかった・・・
携帯電話も正直なところしばらくいじりたくはない・・・いっそ、捨ててしまいたいくらいだ・・・他の者たちと一緒に同化してしまう気がしたから。
投げてみた。
蹴って、踏みつけて、粉々にした。
ざまみろ。
そうして・・・僕はしばらく殻に閉じこもることにした――
幸せの足音よ。響き渡れ。
最後に・・・サインを記した本を心を込めてお送りします。
よろしくお願いいたします・・・↓
共に悪夢を――
大和田龍之介
下記特設サイトからご購入頂いた方限定で僕のサイン入りの著書を購入者全員にお送り致します。「新刊発売記念」サイン入り本の締切は6月末迄です。※送料無料
◆新刊発売記念特設サイトでのご購入者のみの特典となります。
【注意】
大和田龍之介「サイン入り本」は特設サイトでの購入者限定となります。ご了承くださいませ。
「ホラー短篇集・発狂山」大和田龍之介(著)書籍は日本全国の書店でお求めいただけます。
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