短編小説
2022年10月8日 配信
あの男の言葉…… どうしよう 手遅れだ 終わりだ 死んだ? 全滅 知らない 興味ない 聞きたくないよ 胸騒ぎの土曜日からもうすぐ、一週間……すれ違った男の言葉が未だ忘れられず頭の中で何百回も繰り返した。薄汚れた黒いレインコートにアルミ製のアタッシュケースを持ったあの男をモデルに物語を構築しようとノートPCの画面を見ながら彼の容姿を幾度となく思い浮かべた――暗くなった画面に自分の目が映る……両目は完全に死んでいた――あの男に負けず劣らずの状態だ。 キーボードに両手をかけて、文字を打ち始めた。 アタッシュケースの中身には何が入っている?殺しの道具がぎっちり詰まっている設定だ。どんな凶器か。彼 […]
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短編小説
2022年10月1日 配信
家にじっとしていることができない。二日も家にこもっていると気が狂いそうになる。金銭的に余裕がなくてもとりあえず、外に出る。これは必須だ。 ホラー作家とは……家にこもってずっとPCの画面にむかっているイメージがあるかもしれないが、それは僕には当てはまらない。三時間も書き続けていることなど滅多にない。あったとしても、どこかしらで何かに気をとられて、作業は遮られてしまうだろう。 暗い部屋で書き物作業、もしくはホラー映画鑑賞……外に出れば、明るい世界が待っている。今日は天気が良く快晴だ。 闇から光のある場所へ。その瞬間はなんともすがすがしい。大袈裟だが、生きていると実感できる。しばらく歩いてそ […]
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短編小説
2022年9月23日 配信
遂に家賃滞納……そろそろ家主の我慢も臨界に達するはず。まもなく部屋のドアを叩きにやってくるだろう。 仕事もなく金もなくなった……今の俺に残されたものは――わずかな古着と壊れかけのノートPC。 最後の切り札としてこのPCを売るつもりだが……わずかな金になるかわりに、数週間分の食費で消えてしまう。 小説……それを書くことを日課としていたが、もうそれさえもできなくなる。 本当にこれで、俺は抜け殻になる。明日からどうやって生きていこうか……鏡を見なくても目が虚ろなのは分かっていた。 自殺……それも幾度となく考えた。 希望もない、未来もない……それならいっそ――しかし、俺には自殺をする勇気がな […]
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セミナー
2022年9月8日 配信
大和田です。こんにちは💀「ホラー&ミステリー大賞」💀締め切りが近づいてきました! 同時に特別企画『魅力的なストーリーの作り方※パート2』勉強会募集もあと二日で閉め切りです。 今回のコンクールで賞を狙っている方、またほかのホラー系、ミステリー系コンクールにも役立つ勉強会、是非ご参加ください‼ もちろん講師はわたし、大和田 龍之介が務めます!前回の勉強会に少しプラスα(④ホラー作品であれば、何を書けば良いのか、に関して)した内容で非常に濃い受講内容となっております。初めての方も、また再度受講したい方にも朗報です! どしどし募集中です!もう、時間がありません💀💀💀 内容:講義(45分)、質問タイム( […]
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セミナー
2022年8月22日 配信
8月13日に開催されました特別企画!受賞に近づく大和田龍之介の『魅力的なストーリーの作り方』勉強会、無事に配信することができました! 参加して下さった皆様、本当にありがとうございました!! 厚く御礼申し上げます! 本来は60分のところ大幅に時間をまたぎ、また内容に若干の変更がありましたが皆様に支えられたおかげでエキサイティングな勉強会になりました。 ネタの作り方、着想についての講義でしたが・・・私、大和田の知識と実践が皆様に少しでもお役に立ったのなら幸いです! さて、『ホラー&ミステリー大賞』締め切りが1か月延長致しました。 今回は短編ホラー小説部門、短編ミステリー小説部門が新設となります! […]
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セミナー
2022年8月10日 配信
賞金100万円!『ホラー&ミステリー大賞』で審査員をやらしていただきます大和田龍之介です。 今回は特別企画で開催する受賞に近づくための勉強会。 私、大和田が講師を務めます! 講義内容45分+15分(質疑応答) ①今までにないストーリーや物語を創り出す為の着想方法について ②シナリオ制作の手法を生かした物語の作り方 ③新作を執筆するにあたり注目すべき重要な事とは何か? ④ホラー作品であれば、何を書けば良いか? ⑤受賞作『戦慄のメアリー』を題材にしたミステリーの作品の作り方 ⑥スプラッターホラー『13日の金曜日』パート2~4を使ってのミステリー構築講義 ⑦質疑応答 勉強参加費¥5000→¥3000 […]
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記事
2022年8月8日 配信
皆さんも感じていると思うが近頃は世の中、暗いニュースばかりだ。 そんな世の中だからこそ、希望のある物語、明るく光り輝くハッピーエンドの物語を観たい、もしくは読みたい・・・癒されたい・・・ それはある種の現実逃避で間違ってはいないのだが、こうも考えられないだろうか・・・ 逃避してしまいたい暗い現実に直面している自分・・・しかし、どうだろう?その現実よりも暗く酷く恐ろしい戦慄を覚えるストーリー、とんでもないどんでん返し、バッドエンドを迎える究極のホラーやミステリーを観た、あるいは読んだ・・・ 夢も希望もない最悪の現実に立ち向かうにはそれを数段、上回る最悪な経験(視覚から入る体験、映像や活字)をし、 […]
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記事
2022年7月20日 配信
ホラーやミステリー要素の強い映画鑑賞を日課としている自分だが実は昔、かなりのTVゲーマーだった時期がある。 ゴルフやベースボール、レーシングなどのスポーツ系ゲームには一切の関心を持たず、アクションとシューティング、そして特にロールプレイングゲーム(RPG)にのめり込んだのだ。 世代的にMSX2、SEGAのメガドライブ、NECのPCエンジン、任天堂のスーパーファミコン・・・星の数ほどのRPGをプレイした。剣と魔法が飛び交うファンタジーの異世界・・・あの時はまるで本当に自分が異世界に飛ばされたかのごとく、その世界観に没頭し、未知なる冒険の旅に出ることが日課となっていた。そして―― それから、遥か数 […]
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実験
2022年7月7日 配信
「カットアップ」それは文章をばらばらにして、ランダムに繋げる実験的な手法。 1950年代にビート・ジェネレーションを代表する作家の一人、ウィリアム・S・バロウズが友人のブライオン・ガイシンとともに発明した。 ガイシンは新聞の記事を切り分け、ランダムに並べてそれをもとに文章や単語を作った。 それによって、今まで気づかなった驚くような新しいフレーズや文章が生まれることがある。 そこで僕は過去作の電子書籍『発狂山』1ページ目のテキストを切り分け、ランダムに並べてみる実験を試みた。 一般的なやりかたはテキストが印刷された紙を四つ(長方形に)切り取り、それらを並べ替えて混ざり合った散文を新たに文章として […]
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タイトル
2022年6月26日 配信
前回、僕はある程度物語が完成した状態からタイトルを思い付くと書いたが、今回はそれについて考察していきたいと思う。 小説の顔でもあり、最も重要なのはタイトル・・・物語を書き始める前にタイトルが決まれば、それはとても幸運だ。なぜなら、タイトルに合わせた文章を書き進めることがゴールへの近道になるからだ。 では、次に順調に物語だけ構築し書き進められたとしよう。しかし、肝心のタイトルが決まらず、または思い浮かばない・・・。 例として次の文章を挙げる。 【去年の9月……憎悪という暗黒の力が増して私の体内を満たしていった……それはやがて、殺意というものに変貌を遂げていった。奴は私を罵倒し続け、暴言を吐きまく […]
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タイトル
2022年6月6日 配信
映画、小説、コミック、ゲーム。電子書籍やDVDなどの物理メディア。 視覚を通じて、まず最初に入ってくるのは題名と表紙、いや……表紙が先で題名がその次かもしれない。または両方一緒に……。 そう、つまりこの二つは切っても切り離せない仲……同じレベルを保ちながら、第一印象で人間の視覚に強烈なインパクトを与える必要がある。 ホラー小説のタイトルならなおさらだ。脳裏に届くほどの強烈なアッパーカット……。 一瞬、ぎょっとさせ――しかし、思わず手に取りたくなり中身を開きたくなる悪魔的な魅力、印象を持ったタイトル。 それを生み出すのは容易ではないが……脳内を巡る未知の旅(それは時に謎解き、まるで暗 […]
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短編小説
2022年6月1日 配信
ショート・ショート・ショート(超短編)について それは小説の中でも特に短い作品の事である。つまりは1ページから数枚に収まる長さの超短編である。過去の日本のショート・ショートコンテストを例に挙げるならば、原稿用紙20枚以下の規定の募集があった。では、さらに短いショート・ショートを書くとすればそれは何と名付ければよいか?僕は自分なりに命名することにした……ショート・ショート・ショートと。もっとスマートに命名するならば、ショート✖3でいいのか?では……実験的な超短編スリラー『まわり道』をどうぞ。 『まわり道』(実験的な超短編スリラー) 風ひとつない深夜の山道。 僕は暗闇に怯えながら、帰り道を急 […]
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世界線
2022年5月17日 配信
一つの物語をいくつもの可能性に導く―― 主人公Aが友人Bと協力し犯人Cを捕まえるストーリー・・・ または主人公Aが友人Bを殺されたために犯人Cに復讐する別のストーリー・・・ さらには、主人公Aが親友と思っていたBに裏切られ、犯人と思っていたCと協力するストーリー・・・ AとBが犯人でCを追い詰めていく物語もありだ。そう、果てしなく続く物語の可能性・・・ 僕の頭の中にはまるで何本もの線路が走っているように、何本もの物語の映像が浮かぶ。 同じ世界観のなかで。 世界線・・・この言葉が世に出てきたのは10年ぐらい前からか・・・ 僕はその遥か前から、その存在を感じていた。 僕という大和田が別の世界には複 […]
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戦慄のメアリー
2022年5月11日 配信
この作品は80年代のアメリカン・ホラーを意識して書いたつもりだ。 ジョン・カーペンターの作品や『血のバレンタイン』(80年版)、『バーニング』、あの有名な『13日の金曜日』シリーズもしかり、僕の体には物心ついたころから洋画ホラーの血が流れていた。 それもあって、学生の頃は得体の知れないホラー映画を見続けて、チェックリストを作っていたほどだ。まだ、VHSテープのレンタル店が軒を並べていた頃、店内の隅にある異様な空間に引き込まれた―― そこには独特な甘い香りが立ち込め、悪魔が並べたとしか思えない異様なパッケージがずらりと並んでいた。醜悪な殺人鬼や怪物の表紙、震える手で手に取る・・・裏面を見るのが恐 […]
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記事
2022年5月9日 配信
僕はどちらかというと絶望で始まり、絶望で終わる物語が好きだ。 一般受けするのは絶望で始まり、困難を切り抜けて最後は希望を胸にハッピーエンド。 僕にもまったくその要素がないとは言わない。 映画だって最近はハッピーエンドが好きで、涙をうっすらと浮かべる時がある。 だが・・・やはり・・・何かが物足りないのだ。 アドレナリンを分泌させる設定・・・ 主人公の暗い内面にスポットライトを当て、それを隠しながら生きている主人公。 社会に溶け込み、一見・・・体面を保っているかのように見える―― 遠い過去に犯したどす黒い事件をひた隠して、生きるが過去は何かしらに姿を変えて追ってくる。 非常に嗅覚に優れたそいつはど […]
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